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Thursday, April 6, 2023

Dr.ハマサキのすこやかこども診察室 「少し変わった食物アレルギー ... - 佐賀新聞

 最近、卵黄が原因のアレルギー性胃腸炎が増加しています。生後7カ月のA君はゆで卵の卵黄を食べると必ず1~2時間して嘔吐(おうと)するので、「食物アレルギーではないか」と受診しました。A君のエピソードは複数回あり偶然ではないようでした。まず鶏卵に対するアレルギー抗体があるかどうかを調べてみたところ、アレルギー抗体は陰性でした。

 抗体が陽性の食物アレルギー(普通の食物アレルギー)によく見られる症状は、口の周りの発赤や発疹、唇の腫れ、じんましんなどの皮膚・粘膜症状です。それに加えてせき、喘鳴(ぜんめい)などの呼吸器症状と、嘔吐や下痢などの消化器症状、加えて不機嫌などの全身症状があります。A君の場合は皮膚症状や呼吸器症状がみられず、嘔吐が主な症状であることとアレルギー抗体が陰性ということが普通の鶏卵アレルギーと異なっていました。この症状と検査所見から、乳児にみられる「食物たんぱく(卵黄)によるアレルギー性胃腸炎」を考えました。確定診断はなかなか難しくて、病歴から推定し、他の嘔吐や下痢を起こす病気を除外していく必要があります。

 A君はわりあい典型的な患児でしたが、この胃腸炎でもときに鶏卵に対するアレルギー抗体が陽性の子もいるので、普通の鶏卵アレルギーと見分けるのが難しいことがあります。 確定診断は卵黄を食べてもらって胃腸症状が誘発されるかどうかを確認する(負荷試験)ことです。A君は負荷試験が陽性でした。診断後は治療として一定期間原因食物の除去を行います。

 幸いこの病気は経過が良く、1歳過ぎまでには約半数が、2歳までには90%くらいが耐性を獲得して症状が誘発されなくなりますので、半年~1年くらいの間隔で負荷試験を行いながら経過を観察します。A君は2歳を過ぎた時点で症状の誘発がなくなり寛解と判定しました。鶏卵(特に卵黄)の摂取で嘔吐する乳幼児はこの少し変わったアレルギー性胃腸炎を考える必要があります。

※小麦やその他の食物が原因のこともあります

 

浜崎 雄平(はまさき ゆうへい)
佐賀整肢学園 からつ医療・福祉センター顧問。佐賀大学名誉教授。
1948年、鹿児島県日置市生まれ。九州大医学部を卒業し、テキサス大やオクラホマ大研究員などを歴任。
84年から佐賀医大(現佐賀大学医学部)小児科講師として勤務し、00年に同大小児科学教授就任、09年から医学部長を兼任する。
14年から現職。専門分野は小児の呼吸器/循環器疾患、アレルギー疾患。

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