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Saturday, March 25, 2023

食物繊維が健康に及ぼす、重要な効果とは? - ダイヤモンド・オンライン

「1日3食では、どうしても糖質オーバーになる」「やせるためには糖質制限が必要」…。しかし、本当にそうなのか? 自己流の糖質制限でかえって健康を害する人が増えている。若くて健康体の人であれば、糖質を気にしすぎる必要はない。むしろ健康のためには適度な脂肪が必要であるなど、健康の新常識を提案する『ケトン食の名医が教える 糖質制限はやらなくていい』(萩原圭祐著、ダイヤモンド社)。同書から一部抜粋・加筆してお届けする本連載では、病気にならない、老けない、寿命を延ばす食事や生活習慣などについて、「ケトン食療法」の名医がわかりやすく解説する。

食物繊維が健康に及ぼす、重要な効果とは?Photo: Adobe Stock

主食とおかずの組み合わせが大切

 実は調べてみると、確かにパンのほうが単体では食物繊維の量が多いことがわかります。たとえば、一食分ではご飯お茶わん1杯、パンなら4枚切り1枚として、以下のようになります。

 ご飯:150gで234キロカロリー、糖質51.9g、食物繊維2.3g
 食パン:90gで223キロカロリー、糖質39.8g、食物繊維3.8g

 (『八訂 食品成分表2022』女子栄養大学出版部より)

 ちなみに、ご飯のほうが量が多いのは、水分を多く含んでいるからです。

 けれども、ご飯(お米)にお味噌汁、わかめや海苔、お漬物やお豆腐などを組み合わせると、結果的に、和食のほうが食物繊維を十分にとれることになります。

 一方、朝がパン食の場合は、ベーコンやコーンスープ、ヨーグルトに果物、パンに合うものを選んでいくと、知らない間に食物繊維を十分にとれなくなってしまいます。

 それなら、生野菜のサラダを食べればいいだろうと思いきや、それでは、思っているほど食物繊維はとれないのです。野菜は水分量が多いので、煮炊きしたもののほうが、見た目は少なくても、食物繊維は多くなります。

 つまり、おかずとのバランスで総合的に考えると、パンを主食にするよりもご飯を主食にしたほうが、結果的に多くの食物繊維を摂取できる可能性が高くなるのです。

 糖質についても、糖尿病ではない普通のビジネスパーソンであれば、1回にお茶碗1杯ぐらいのご飯を食べても糖質オーバーにならないことは、すでに説明した通りです。

 では、食物繊維が、どのように健康と関係してくるのでしょうか?

食物繊維を多くとっている人は、
そうでない人に比べ死亡リスクが約2割下がる

 食物繊維とは、学問的には、ヒトの消化酵素で分解されない食物を指しています。いわゆる食べ物に含まれる繊維成分ですが、食物繊維には、果物や野菜に含まれる水溶性食物繊維と、セルロースなどからなる不溶性食物繊維があります。

 これまで、食物繊維は便通にいいというようなイメージしかなかったのですが、最近の研究では、実は重要な役割があることがわかってきました

 国立がん研究センターによる多目的コホートの研究は、約9万人の日本人を対象としています。この研究からは多くの知見が導き出されています。

 その一つが、食物繊維を多くとっている人はそうでない人に比べて、全体の死亡のリスクが約2割下がるという報告です。

 報告では、男性の場合、がんも循環器系疾患の死亡率も20%以上低下しています。

 女性では、全体で約20%、循環器系疾患では30%近く低下しています。これは、すでに報告されている欧米の結果と、ほぼ同様の結果でした。

 現代人の食習慣の変化は、健康に大きな影響を与えていると考えられています。

 実際、厚生労働省の報告では、日本人の平均食物繊維摂取量は、1950年頃には1人あたり1日20gを超えていました。

 しかし、穀類・イモ類・豆類の摂取量の減少に伴い、平均摂取量は1日あたり14g前後まで減少していると推定されています。

 その変化は、現代日本人の食生活が欧米化したことと大きく連動しています。

 現在、食物繊維の1日の目標摂取量は、18~64歳の男性で21g以上、女性で18g以上です。そして、ご飯と一緒におかずをとっている人は、食物繊維の摂取が目標量を超えやすいので、結果、健康維持につながるのです。

 食物繊維は腸内細菌叢の維持に、とても役立つことがわかってきたのです。

萩原圭祐(はぎはら・けいすけ)
大阪大学大学院医学系研究科 先進融合医学共同研究講座 特任教授(常勤)、医学博士
1994年広島大学医学部医学科卒業、2004年大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了。1994年大阪大学医学部附属病院第三内科・関連病院で内科全般を研修。2000年大学院入学後より抗IL-6レセプター抗体の臨床開発および薬効の基礎解析を行う。2006年大阪大学大学院医学系研究科呼吸器・免疫アレルギー内科助教、2011年漢方医学寄附講座准教授を経て2017年から現職。2022年京都大学教育学部特任教授兼任。現在は、先進医学と伝統医学を基にした新たな融合医学による少子超高齢社会の問題解決を目指している。
2013年より日本の基幹病院で初となる「がんケトン食療法」の臨床研究を進め、その成果を2020年に報告し国内外で反響。その方法が「癌における食事療法の開発」としてアメリカ・シンガポール・日本で特許取得。関連特許取得1件、関連特許出願6件。
日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)などの学会でがんケトン食療法の発表多数。日本内科学会総合内科専門医、内科指導医。日本リウマチ学会リウマチ指導医、日本東洋医学会漢方指導医。最新刊『ケトン食の名医が教える 糖質制限はやらなくていい』がダイヤモンド社より2023年3月1日に発売になる。

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