高橋豪
【山口】食物アレルギーをもつ子どもの母親らが悩みや対処のしかたを共有する場として20年近く。少し口にしたり触ったりするだけで重い症状が出るケースもあるため、周囲の理解と配慮が何より大切だ。大規模災害に見舞われた時に「アレルギーっ子」をどう守るか、を考える活動にも取り組んでいる。
設立は2004年。3年ほど経って、母親主体で運営するようになった。もともと山口市内で生まれた活動の輪だが、現在の会員12人は市外の県内各地に加え、大阪に転居した人もいる。コロナ禍で開催はオンラインとなったが、月に1、2回顔を合わせて話し合う。いまは会員以外にも参加を呼びかけている。
「小学校入学前には、症状の出方や対処法をよくまとめて、教員と話し合っておく」「友達の家に遊びに行くときはおやつを持たせておく」といった知恵を出し合う。田辺理恵代表(47)は10年に入会し、次女の牛乳、卵アレルギーと向き合ってきた。「自分だけじゃないと前向きになれた。初めて話をする時は悩みを抱えて涙を流す人もいるが、だんだん表情が明るくなっていくのを見るとやってよかったと思う」
食物アレルギーの子どもは「災害弱者」でもある。避難所や炊き出しで出される食べ物は手を付けられない。日頃からアレルギーに配慮した食料を備えておくよう会で話し合い、防災イベントでの講演を通じて周りの理解を求める。
全国の患者の会とのネットワークも広げる。19年には協力して防災準備や被災地支援、炊き出しでの注意点をまとめたハンドブックをつくった。
「ぽれぽれ(pole pole)」はスワヒリ語で「ゆっくりゆっくり」を意味する。子どものアレルギー治療に近道はなく、焦らず気長に見守るという気持ちがこもっている。情報発信はインスタグラムが主で、連絡はメール(pore2yamaguchi@gmail.com)へ。(高橋豪)
災害弱者の食物アレルギーっ子 守りぬく「ぽれぽれ」 - 朝日新聞デジタル
Read More
No comments:
Post a Comment