玄米より白米の方が食物繊維が多い──そんな珍現象が起きている。 栄養計算で用いる食品成分表の最新版で、一部の食品で食物繊維の成分値が変更されたからだ。 なぜか? 日経ヘルス秋号より、背景を取材した記事を紹介する。
一部の食品だけに新分析法適用、“逆転現象”が生じた
食物繊維が豊富な外皮を丸ごと含む玄米は、外皮を取り除いた白米よりも、含まれる食物繊維が多いというのは疑いようのない事実。それなのに「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(以下、食品成分表)で、奇妙な “逆転現象”が起きている。原因は食物繊維の測定法に新たな方法が加わったからだ。
2017年まで、食物繊維の成分値は「プロスキー変法」(以下、P法)で測定した値だったが(*1)、2018年から一部の食品の測定に「AOAC 2011・25法」(以下、A法)が導入された。A法の特徴は、(1)P法では測定できない「低分子水溶性食物繊維」を測れる、(2)P法では部分的に不溶性食物繊維として測定される「難消化性でんぷん」の全量が測れること(下図)。
食物繊維の種類と2つの測定法で測れるもの、測れないもの
A法では、P法では測定できない低分子水溶性食物繊維と難消化性でんぷんのすべてを含む不溶性食物繊維が測定できるので、食物繊維の総量に違いが生じる。
国際的には、低分子水溶性食物繊維は各国の判断で食物繊維に含めていいことになっているし(*2)、難消化性でんぷんも取りこぼしなく測れたほうがいいはず。ということで「これらの成分を比較的多く含む穀類やイモ類、豆類など、相対的に炭水化物が多い食品は、こちら(A法)で測定しましょう、ということになった」と日本食物繊維学会の理事長でもある大妻女子大学の青江誠一郎教授は説明する。
60食品のみA法値を記載 白米はA法値、玄米はP法値
しかし該当するすべての食品の測定は間に合わず、食品成分表にはA法で測定済みの60食品はその成分値、それ以外はP法で測定した成分値が載っている。詳細な成分値がわかる食品成分表の「炭水化物成分表編」にはA法とP法の成分値が併記されているが、食品成分表の本体では、どちらの方法で測定した成分値なのかがわからない。文部科学省の「食品成分データベース」で検索した結果も食品成分表本体の成分値だ。
そのため次のような怪現象が起きている
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白米ごはん(白米(めし))はA法で測った成分値に変わり、玄米ごはん(玄米(めし))はP法で測った成分値のままなので、白米ごはんの方が食物繊維が多い。
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全粒粉のパンの食物繊維は食パンよりもちょっと多いだけ。
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生のジャガイモの食物繊維は一気に7倍超。
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乾燥したあずきでは食物繊維が増え、ゆでたあずきでは減った。
いきなり5倍! 同じ“白米ごはん”なのに、最新の食品成分表で食物繊維急増の怪 - 日経Gooday
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