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Sunday, June 13, 2021

糖質オフの落とし穴…食物繊維不足が便秘を招く 松生恒夫医学博士に聞く - 東スポWeb

便秘気味の人、いませんか?

 コロナ禍が続く中、「腸ストレス」に悩まされる人が増えている。様々な要因が影響しているようだが、健康な腸を取り戻すためにはどのような生活習慣に気を付ければいいだろうか。「血糖値は『腸』で下がる」(森豊氏との共著・青春出版社刊)を著し、現在までに5万人以上の大腸内視鏡検査を行ってきた腸のエキスパートでもある松生恒夫医学博士に聞いた。

 ――最近、腸の不調を訴える人が増えているとか

 松生医学博士(以下松生)1つにはコロナ禍のストレスが影響しています。ワクチン接種もいつできるか分からないなど不安定な状況下でストレスをためると交感神経が緊張状態となり、腸のぜん動運動が起きにくくなって便秘となります。他にも食生活が影響している場合があります。話題の糖質オフを続けていると便秘になりがちです。

 ――詳しく教えてください

 松生 たとえば腸の不調を訴えたある女性の患者さんの1日の食事例をご紹介します。朝食に豆乳1本とリンゴ、昼食に飲むヨーグルトとカレーパン、夕食はパスタ少なめのカルボナーラ、野菜サラダでした。

 ――一般的な食事のようにも感じます。どの点が問題なのでしょうか

 松生 食物繊維が圧倒的に不足しています。この患者さんが避けている炭水化物には糖質以外にも食物繊維が含まれているのです。昨今は、糖質オフ生活が、排便障害などの「腸ストレス」を招くのが問題となっています。

 ――心掛けるべきは…

 松生 まず、このような朝食では朝の大ぜん動(腸の内容物を肛門に送り出す動き、朝の排便を促す意味で大事な強い収縮運動)のタイミングを逃してしまいます。ただでさえコロナ禍においてテレワークが増えるなど、運動量も減っています。朝食はしっかり取っていただきたいです。

 ――ほかに影響は

 松生 糖質オフの食事を続けることで食物繊維不足、さらに停滞腸になっている方が増えています。停滞腸とは私の造語ですが、腸の活動が衰え、ぜん動運動がほとんど見られなくなっている状態を指します。特徴としては排便が1~2日に1度少量ずつあるものの、腹部膨満感と残便感を抱えている方です。このような症例は糖質オフを実施した男性に比較的多く見られています。

 ――毎日の食事には食物繊維がそれほど大事なんですね

 松生 食物繊維は便の排出を促すだけでなく、便のもとにもなっているので、不足すると排便量が減り、便秘を招きます。さらに便秘になるとおなかにガスがたまりやすくなり胃を圧迫するので、食欲が落ちてしまいます。こんな状態で、たとえば腸にいいからとヨーグルトを食べてもそもそも便のもとになる食物繊維量が少ないので、なかなか腸の状態は改善しません。さらに腸内環境が悪化すると血糖値のコントロールが難しくなるなど、糖尿病など生活習慣病を抱える方にとっても良くありません。ではどのように日々の食事を取ればいいのかといえば…。(健康な腸を取り戻すための食事法について次回詳しく!)

 ☆まついけ・つねお 1955年、東京生まれ。東京慈恵会医科大学卒業後、松島病院大腸肛門病センター診療部長などを経て2004年、東京都立川市に松生クリニックを開業。医学博士。現在までに5万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた腸のエキスパート。「『腸の老化』を止める食事術」(青春出版社刊)、「ビートルズとストレスマネジメント」(春陽堂書店)など著書多数。

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