明け方、寒くて目が覚めてしまい、慌てて布団をかぶった。結局そのまま眠れず、仕方なくカーテンを開けると、シトシトの雨である。まだ梅雨か、と萎(しお)れたが、いやいや、梅雨なのだから雨が降らないと困ると思い直す。
窓外のベランダでは、トマトが赤い頬をプリップリに光らせている。
君は雨ふりで元気満タンなのだな。うらやましい。あとで食べてやろう。
寝冷えのせいで朝から頭痛がする。昨夜はとても蒸し暑かったから、油断してレッグウォーマーを履かなかった。布団も横によけておいたら、夜のうちに天気が崩れて雨になり、気温が下がったのだ。
梅雨って、ほんとにもー。
とにかく冷えを取らないといけないので、お風呂を沸かそう。
私は、いわゆる"冷えのぼせ"タイプである。下半身が冷えやすく、首から上が熱(ほて)りやすい。
更年期以降その傾向が強まったので気をつけている。もともとは虚弱体質である。
仕事が忙しかった二十代中頃は、過労も重なり本当に体がキツかった。すっかり体力も気力も消え失(う)せてしまった時に、漢方と出合い、その奥深さに惹(ひ)かれた。以来、三十年以上も健康管理に役立っている。
漢方の面白さは簡単には説明し切れないが、私が一番感銘を受けたのは、単に健康と病気という捉え方をするのではなく、自分の命を自然界の森羅万象の中に見つめながら、健康とは、食べるとは、生きるとは、などダイナミックに考えるところだ。
例えば、私の虚弱体質のことを漢方的に言うと腎虚(じんきょ)となる。腎は解剖学的な腎臓という意味ではなく、生命力や活力の源を意味するという。なので腎を滋養する漢方の処方が私には合うということになる。
そうやって体の幹をしっかり守りながら、冷えてしまった時にはお風呂に入ったり運動したり、根菜や発酵食品を食べたりし、暑さが厳しい日には熱を冷ます食物を食べて体内の熱のバランスをとる。あまり流行(はや)りのダイエット方には関心が無い。他の人には効果があっても、自身の体質にはあっていないことが多いからだ。暑い場所で汗を大量にかく運動は、腎に潤いが無くなりむしろ熱りを招いて体調が悪くなる。炭水化物を抜いても効果が無いのは、便秘傾向になり代謝が落ちて、冷えが増すからだと思う。食べ物も運動も、体質と相談してから決めるのが私流なのだ。肝、心、腎、肺、脾(漢方の五臓)の囁(ささや)きを聞き逃さないことが健康の秘訣と考える。
食べ物も運動も 体質と相談してから決めるのが私流|NIKKEI STYLE - 日本経済新聞
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