2021年2月末に開催された「アナフィラキシー啓発オンラインセミナ―」によれば、食物アレルギーを持つ保護者から「コロナ禍の中、病院の受診が不安」という声が寄せられていると言います。 セミナーでは、昭和大学医学部 小児科学講座教授 今井孝成先生から、食物アレルギーやアナフィラキシーの基本知識と、コロナ禍での適切な対応について情報の提示、そして、長男が食物アレルギーを持つ、モデルの長谷川理恵さんの体験が語られました。
子どもの食物アレルギー、アナフィラキシーとも増加傾向
今井先生は、近年子どもの食物アレルギーとアナフィラキシーは増えていると言います。 「食物アレルギーは圧倒的に0~1才が多く、原因食物は鶏卵、牛乳、小麦が全体の3分の2を占めています。 ただ、その後、年齢を経るにしたがって原因食物は変わり、3才からは木の実類や魚卵、7才からは果物類や甲殻類が多くなります。鶏卵、牛乳、小麦といった3大アレルギー食品以外でも食物アレルギーは起こるということも、ぜひ知っておいてほしいと思います。 東京都が3才児健診の保護者に5年ごとに行うアンケートを見ると、右肩上がりに増えていて、ここ10年では全体の15%くらいの保護者が、子どもに食物アレルギーがある、と感じています」(今井先生) 文部科学省「学校におけるアレルギー疾患の変化」によればアナフィラキシー(アレルゲンの暴露から2時間内に複数臓器の全身性にあらわれる強い症状)も3倍程度増加していると解説されています。 長谷川理恵さんの8才になる長男は、卵と乳の食物アレルギーがあると言います。 「発症は1才のときでしたが、今ではピザやアイスクリームなどを食べられるまでに改善しました。ただ、最近くるみに反応することがわかりました」(長谷川さん)
新型コロナウイルス感染症は、正しく恐れるべき
新型コロナウイルス感染症流行以降の食物アレルギー診療状況について、2021年1月に食物アレルギー患児の保護者を対象に行ったアンケート(※)では、「受診しなくなった」「頻度が減った」と答えた保護者は全体の40%近くにものぼっているという結果だったそう。 「新型コロナウイルス感染症は正しく恐れるべきものです。しっかり管理された環境のもとなら、適切に予防策を講じれば、すぐに感染することはありません。定期的に受診する必要のある赤ちゃん・子どもは適切なタイミングで、受診してほしいと思います」(今井先生) 新型コロナウイルス感染症に感染すると食物アレルギーが悪化すると心配されているママやパパもいるかもしれません。 「食物アレルギーを持つお子さんはぜんそくのある子も多いので、私たちも当初は新型コロナウイルスと食物アレルギーの関連性を心配していました。しかし、今は国際的な研究結果で、悪影響はないということがわかっています」(今井先生)
コロナ禍で赤ちゃん・子どもの食物アレルギーの受診控えが増加。オンライン診療に期待【専門家】(たまひよONLINE) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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