今回は「子どもの食物アレルギー」についてです。日本学校保健会が全国の公立の小中学校を対象にした調査で、食物アレルギーのある児童生徒は2013年では40万7546人だったのに対し、2022年には52万6705人と約10年で12万人ほど増えています。なぜ、これほど急激に増加しているのか。原因や予防法を専門医に聞きました。
佐橋嬉香アナウンサー:
「全国的に増加している子どもの食物アレルギー。県内でも悩んでいる方は多いようです」
県民:
「卵アレルギーがある、何にでも使うものだから困る」
「アトピーがあって小麦を食べるとせき込む。最近離乳食を始めたが不安」
今回、子どもの食物アレルギーについて話を聞くのは、福井大学病院・小児科の大嶋勇成教授です。
大嶋教授:
「患者数は明らかに増えている。病院で専門外来を開いていると、ここ最近はほとんど食物アレルギーの患者さんで、非常に社会的に問題になっている」
食物アレルギーとは、特定の食品によって引き起こされるアレルギー反応のことを指します。原因となる食品には、卵や牛乳、小麦などをはじめ、数多くのものがあります。
蕁麻疹などの皮膚の症状や下痢や喘息など全身に症状が現れることがあり、重篤な場合、血圧の低下や意識障害などを引き起こすアナフィラキシーショックを発症し死に至る危険性もあります。
では、ここ10年で食物アレルギーになる子どもが増えている原因は何なのでしょうか。
大嶋教授:
「完全には分からない。ただ、一時期、原因となりやすい物質を食べるのを遅くすることが推奨されている時期があった。それを推奨したことによって逆に増えたのではないかと考えられる」
赤ちゃんは口から食べ物を食べると、徐々に慣れ、それを異物とみなさず消化できるようになります。しかし、食べ始める時期を遅らせると、体がその食べ物に慣れる前に皮膚から体内に取り込まれてしまい、アレルギーを発症するリスクが高くなります。どの食べ物も、正しい時期に離乳食に取り入れはじめて体内に抗体を作ることが大切です。
また、近年は大人の食生活の変化によって「ある食品」のアレルギー患者が増えているといいます。その食品はナッツです。
大嶋教授:
「ナッツのアレルギーが非常に増えている。なぜ増えているかは明確にはわからないが、少なくとも国内に輸入されるナッツ製品の量は増えてきてる。ということは家庭での消費量が増えているのではないか」
ナッツの成分がホコリやカスとして家の中に広がり、それを子どもが口から取り入れるよりも先に皮膚から吸収してしまうと、アレルギー反応を発症しやすくなります。
では、家の中を清潔に保つこと以外に予防法はあるのでしょうか。
大嶋教授:
「スキンケアをしっかりしましょう。皮膚を清潔に保つ。乾燥肌で皮膚がカサカサになってしまう場合は保湿剤を塗ってあげることが重要」
子どもの肌に合った保湿剤をこまめに塗ることが大切です。大嶋教授は子どもに食物アレルギーへの不安がある場合には、医師に相談して正しいアプローチをしてほしいと呼びかけます。
大嶋教授:
「食物アレルギーは、お子さんごとに症状の程度も原因となる食べ物も違うので、インターネットに出ているような安易な除去の仕方はしないでほしい。早く治すには、自分の子供がどういう食べ物で症状が出ているのかを診断することが大前提。きちんと判断したうえで、食べられる量を少しずつ食べていく、というふうにやっていきましょう。そのためにもお医者さんと良好な関係を作りながら進めていってほしい」
死に至る危険も 急増する子供の食物アレルギー 10年間で12万人増加 ... - FNNプライムオンライン
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