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Tuesday, August 15, 2023

【まとめ】サーファーと納豆、花粉症と果物…大人のアレルギーの ... - アスレシピ

「食物アレルギー」と聞くと、子どもに多いイメージあるかもしれませんが、大人になってから新たに発症するケースが増えています。かつて「原因不明」とも言われた大人の食物アレルギー(成人食物アレルギー)は近年、その意外な原因とメカニズムが明らかになってきました。

そのメカニズムの1つに「交差反応」があります。構造が似ている別のアレルゲンを異物とみなし、免疫細胞が過剰な免疫反応を起こすことでアレルギー症状が現れます。場合によっては重篤な状況になり得る「大人のアレルギー」について、過去の記事から抜粋してまとめました。

サーファーは「納豆アレルギー」になりやすい

納豆アレルギーは、たとえ大豆アレルギーが陰性だったとしても症状が出ることがあり、その原因の1つがポリガンマグルタミン酸(PGA)というネバネバ成分です。主な症状は皮膚症状、呼吸器症状などで、アナフィラキシーに進展することもあります。

その納豆アレルギーを発症することが多いのが、サーフィンなどのマリンスポーツをする人でクラゲに刺されたことのある人。原因は、このPGAというネバネバ成分です。

クラゲは刺胞という毒針を発射する細胞を持ち、その内部にPGAを含んでいます。人がクラゲに刺されるとそのPGAが体内に入り、複数回刺されているうちにPGAに対して抗体ができて、アレルギーを発症するようになるのです。

一見、関係ないように思われる「クラゲ」と「納豆」は、PGAというネバネバ成分でつながっています。納豆でアレルギー反応が出た人は、クラゲに刺されたことがあるか、思い返してみてください。

花粉-食物アレルギー症候群/口腔アレルギー症候群

大人になって急に、メロンやスイカ、桃、リンゴなどを食べると口の中がイガイガしたり、かゆみがでたりする人はいませんか。大好きな果物や生野菜を食べると違和感が生じて、がっかりしている人もいるのではないでしょうか。

大人の口腔アレルギー症候群の多くは花粉が影響すると言われ、「花粉-食物アレルギー症候群」とも呼ばれています。主な症状は唇や口、喉などにイガイガ感やかゆみ、腫れなどで、口腔咽頭症状以外にも鼻症状、眼症状などもあります。

この原因は花粉。花粉症を引き起こすアレルギーの原因物質の構造によく似たものが野菜や果物に含まれている(交差反応)と、食べたときに食物アレルギーを発症することがあるのです。

該当する花粉と食品の関係は以下の通りです。思い当たる節があるでしょうか。

<花粉-食物アレルギー症候群の花粉と食品>

1月~6月:シラカバ・ハンノキ=リンゴ、桃、大豆など
2月~5月:スギ・ヒノキ=トマトなど
5月~10月:オオアワガエリ・カモガヤ=メロン、スイカ、トマト、キウイなど
7月~11月:ヨモギ=セロリ、ニンジン、マンゴーなど、ブタクサ=メロン、スイカ、キュウリ、バナナなど

これらの果物や野菜は、生ではなく、加熱したり、ジャムや缶詰などに加工することで食べられることもあります。

天然ゴムのラテックスアレルギーと食物アレルギー

天然ゴム(ラテックス)製の手袋などでアレルギー反応が出る人は、口腔アレルギー症候群の症状が出ることがあります。これを「ラテックス・フルーツ症候群」と呼びます。

特に症状を誘発する食品は、バナナ、キウイフルーツ、アボカド、クリ、トマト、パパイアなど。ラテックスアレルギーと診断された場合は、野菜や果物にも気を付けてください。

大人の食物アレルギーの上位、エビやカニなどの甲殻類アレルギー

エビやカニなどの甲殻類が原因となる食物アレルギーは、乳幼児期は多くありませんが、学童期以降に増えてきます。エビやカニのほか、シャコ類、あみ類、おきあみ類、フジツボ、カメノテを原因物質とする甲殻類アレルギーは「大人の食物アレルギー」の上位に入っています。

症状は、じんましんや呼吸困難,まぶたの腫れ、嘔吐、喉のかゆみなど様々で、アナフィラキシーショックが起こる頻度も他の食品に比べて高めです。

甲殻類でないシラスやちりめんじゃこを食べるときも注意が必要です。パッケージの注意書きに「本製品で使用しているシラスは、エビ類(又はカニなど)が混ざる製法で製造しております」と表記を見たことはありませんか。水揚げ時にエビやカニなどが混ざる場合があるので油断できません。食べる際は主治医に確認しましょう。

甲殻類や小麦、食べた直後の激しい運動でアレルギー

甲殻類アレルギーは、食物アレルギーの中でも特殊なタイプ「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」を引き起こす原因としても小麦に次いで多いとされており、注意が必要です。

食べてから2時間以内に激しい運動をすると、じんましん、赤みなどの皮膚症状やぜんそく、咳、呼吸困難などが生じるものです。小麦や甲殻類アレルギーのある人はアレルゲンとなる食品を食べた後は、4時間以上運動しないことが大切です。

甲殻類アレルギーはダニやゴキブリにも反応

また、エビやカニなどの甲殻類アレルギーや、タコやイカなどの軟体類のアレルギーがある人は、掃除を怠るとアレルギー反応が強く出る場合があります。ダニやゴキブリには、甲殻類や軟体類と同じタンパク質(トロポミオシン)が含まれており、甲殻類アレルギーはダニやゴキブリなどの吸引も関係しているのではないかという報告もあるので、部屋の掃除も意識しましょう。

うどんを頼んだのに…そばでアレルギー発症

食物アレルギーの原因の多くはタンパク質です。そのアレルゲンの上位は小麦、カニやエビなどの甲殻類、魚類、果物のほか、ピーナッツ、そば、ゴマなども挙げられます。

そばアレルギーは、他の食物アレルギーに比べて極微量で重篤な症状が出ることがあります。食べた直後に呼吸器症状や粘膜症状、じんましんなどの皮膚症状、消化器症状などが併発し、アナフィラキシーショックを引き起こすこともまれではありません。

そのため、そばと共通の釜でゆでられたうどんにも、ほとんどの人が強く反応します。ゆで汁やその蒸気、そば粉の粉塵を吸い込むだけでも反応してしまうので注意が必要です。

食品以外でも、そば殻まくらなどそばを使った製品でも反応するので気を付けましょう。

ここまで主な大人の食物アレルギーをまとめてきたように、原因が思わぬところに潜んでいることもあります。気になる症状があれば、早めに専門医を受診しましょう。

一般的には、大人になってから発症したアレルギーは治りづらいと言われています。子どものものと原因も症状も大きく異なるのと、長年の生活習慣が影響していることも多いため、原因を探し出すことが容易ではないともいわれています。

しかし、治療法などの研究は発展途上です。今後、子どもの食物アレルギー同様、大人の食物アレルギーに対しても研究成果が表れてくるのではないかと思っています。

管理栄養士・乳井美和子、小高鏡子

昨今、何らかの食物アレルギーの人が増えているという。日頃、食物アレルギーに関する栄養相談やレシピ開発を行っている管理栄養士の乳井美和子と小高鏡子がそれらの注意点と対応食を紹介する。対応食は化学調味料や着色料などの使用を控え、素材の味を活かした料理がほとんど。食物アレルギーでない人もおいしいと感じるメニューをお伝えする。

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