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Monday, July 17, 2023

地上と地下の生態系をつなぐ「コア生物種」―DNAメタバー ... - 京都大学

 鈴木紗也華 生態学研究センター博士課程学生(研究当時)と東樹宏和 同准教授および馬場友希 農業・食品産業技術総合研究機構上級研究員らの研究グループは、生物多様性を網羅的に解明する「DNAメタバーコーディング」技術を応用し、50種のクモと約1,000種の餌生物が織りなす食物網の構造とその動態を解明しました。

 他の生物を捕食する生物の体内には、餌種のDNAが含まれています。本プロジェクトでは、早春から晩秋の草原生態系を対象とした野外調査で2,000個体以上のクモを採集するとともに、その全個体について餌種DNAをターゲットにした分析を実施しました。その上で、食物網の構造をネットワーク科学の観点から解析しました。

 その結果、食物網の構造が季節の移り変わりとともに劇的に変化している様子を捉えることに成功しました。検出された約1,000種の餌種の中には、植物の葉を食べる昆虫や地下の有機物を食べるトビムシ類、他の節足動物を餌とする捕食者や寄生者が含まれていました。こうした多様な餌を捕食し、地上と地下の生態系間をつなぐ役割を果たしているクモを探索したところ、季節の変化とともに食う-食われる関係のネットワーク内で中核に位置する種(「コア生物種」)が入れ替わっていることが明らかになりました。

 肉眼観察だけでは捉えきれない生物種間の関係性を一挙に解明する本研究のアプローチを今後拡大することで、生態系内でどのように物質が循環しているのか、生態系の機能と安定性に「コア生物種」がどのように寄与するのか、といった核心的な問いに答える基礎が構築されると期待されます。

 本研究成果は、2023年7月17日に、国際学術誌「Nature Ecology and Evolution」に掲載されました。

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クモを中心とする食物網構造の季節変動(概念図)。©きのしたちひろ

研究者のコメント

「餌生物への選り好みがないと言われてきたクモでも、種や季節によってその振る舞いが違うことを、長期的なサンプリングにより明らかにすることができました。今後は食物網の季節動態がより注目されていくことを期待しています。」

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