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Tuesday, September 6, 2022

恐竜の食物をたどって〜日経サイエンス2022年10月号より - 日経サイエンス

食性による生息域の大小が多様性の違いを生んだ可能性

もし7500万年前の北米大陸を旅したら,行く先々で大きく異なる恐竜を目にしたことだろう。大陸の西半分で見つかったこの時代の恐竜化石は非常に多様で,古生物学者はその理由に長らく頭を悩ませてきた。山や川によって恐竜集団が隔離され,それぞれが別々に進化して,より大きな多様性を生じたとする説がある。だが最近のPalaeontology誌に報告された研究は別の可能性を提唱している。植物食恐竜が食べていたものに,謎解きの手がかりがあるという。

恐竜化石の骨に含まれる同位体(同じ元素だが中性子の数が異なるバージョン)を見ると,恐竜が食べていたものを探ることができる。植物食恐竜はシダ類や針葉樹の葉を食べていたため,それらの植物に由来する酸素や炭素,ストロンチウムの同位体が異なる割合で体に蓄積される。植物のタイプによって同位体の比率がどう異なるかが特定されており,それらの植物が生えていた場所もわかっているので,恐竜の骨が含む同位体を計測すれば,何を食べていたかだけでなくどこで食物を探していたかもわかる。


アンキロサウルスの足跡

角竜とよろい竜,カモノハシ竜を比較
加カールトン大学の古生物学者カレン(Thomas Cullen)らは今回の研究で,カナダのアルバータ州にあるオールドマン累層で発見されたケラトプス科の角竜とアンキロサウルス属のよろい竜,アヒルのようなくちばしを持つハドロサウルス科のカモノハシ竜を調べた。頭を地面近くに下げた姿勢で四足歩行する角竜とよろい竜は,比較的狭い地域で丈が低い植物を食べていたことが同位体比から示された。これに対しカモノハシ竜は木の高いところについた葉にくちばしが届き,広範囲の植物を食べていたことがわかった。カモノハシ竜は食物を探して100km先まで移動していた。食物と移動範囲の点で「ハドロサウルスがアンキロサウルスやケラトプスとこうも大きく違うことに,まず驚いた」とカレンはいう。

角竜とよろい竜が比較的狭い地域にとどまって食物を探していた場合,それぞれの生息地ごとに多くの新種が生じるような進化が促された可能性があるだろう。これに対し各個体が広い生息地を持っていたカモノハシ竜は,角竜とよろい竜に比べると実際に多様性がはるかに小さい。(続く)

続きは現在発売中の2022年10月号誌面でどうぞ。

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