国立病院機構相模原病院臨床研究センター長
アレルギー性疾患研究部部長
海老澤 元宏 先生
アトピー性皮膚炎のスキンケアをしっかりと
小児期の食物アレルギーの発症リスクには、家族歴や、特定の遺伝子が関係していることなどがあげられますが、中でも乳児期早期に発症したアトピー性皮膚炎は重大な因子と考えられています。正常な状態の皮膚は、角質に守られ、異物が入りにくい頑丈な構造ですが、湿疹などがあり、皮膚のバリア機能が損なわれたアトピー性皮膚炎の患者さんは、環境アレルゲンや食物由来のアレルゲンが侵入し、IgE抗体が作られやすくなりアレルギー症状を起こす可能性が高くなります。このため、アレルギー疾患であるぜん息や食物アレルギーの予防のためにも、皮膚を清潔に保つ、保湿剤を適量塗る、医師の処方によるステロイド外用薬を使用するなど、きちんとしたスキンケアや管理を行いましょう。
乳児期に、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの、どちらが先に発症するかは、依然として未解明な部分もありますが、少なくともアトピー性皮膚炎の湿疹の治療を優先して行うことが、食物アレルギーの発症予防や重症化防止などの管理にとっては最優先事項と考えられます。私が行っている相模原市での調査でも、近年のアトピー性皮膚炎の管理の向上により、ダニの感作(IgE抗体が作られた状態)を抑制しその後のぜん息など他のアレルギー疾患の予防にもつながると思われるデータが得られています。
食物アレルギー今むかし③(全4回)|WEB版すこやかライフ - 環境再生保全機構
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