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食物繊維は犬の腸内環境を整え、ダイエットにも効果的な栄養素です。摂りすぎると下痢につながることもあり、適量を知ることが必要です。今回は食物繊維の働きや、おやつや手作りごはんに挑戦したい飼い主さんにオススメの高繊維な野菜や果物など食べ物についてペット栄養管理士が解説します。
食物繊維は三大栄養素の一つ、炭水化物に含まれる栄養素で、犬にも大切な栄養素です。実は古くから「栄養としての価値はなく、食感を悪くする邪魔者」として扱われてきたのですが、近年の研究によってその価値が見直されてきました。
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タンパク質や脂質、糖質は消化管から出る酵素によって消化されますが、食物繊維は消化されずに腸内制菌の発酵を受けて短鎖脂肪酸となります。短鎖脂肪酸は脂肪の材料になったり、エネルギー源になったりして利用されます(※)。
※短鎖脂肪酸は牛や馬などの草食動物にとって重要なエネルギー源ですが、消化管が短い犬では主なエネルギー源にはなりません(5%以下)。
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犬が食物繊維を摂ることで期待できる効果
食物繊維は「水に溶けやすい水溶性」と「水に溶けにくい不溶性」の2種類の特性を持ちます。水溶性は水に溶けてゲル状になって胃腸に溜まり、不溶性は保水してフードや糞便をかさ増しするのが特徴です。
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共通 |
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水溶性 |
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不溶性 |
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代表的な食物繊維を水溶性と不溶性にわけると以下のようになります。
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水溶性 | ペクチン | 野菜、果物(※1) |
グアーガム | グアー豆 | |
イヌリン | 菊芋、ごぼう、ゆり根 | |
アルギン酸 | 昆布、わかめ | |
寒天 | 寒天(テングサ、オゴノリなど)(※2) | |
キサンタンガム | 主にトウモロコシデンプンから人工生成 | |
難消化性デキストリン | 主にトウモロコシデンプンから人工生成 | |
不溶性 | セルロース | 穀類、野菜、果物 |
ヘミセルロース | 穀類、野菜、果物 | |
キチン・キトサン | 甲殻類 |
※1:ペクチンは野菜や果物に含まれ、粉末を精製する際はリンゴや柑橘類などの絞りカスが利用されます。※2:寒天は水溶性食物繊維だけでなく不溶性食物繊維も含みます。
食物繊維は犬の腸内環境を整える
腸内にはさまざまな細菌がいることから「腸内細菌叢(そう)」や、お花畑に例えて「腸内フローラ」と呼ばれます。腸内細菌が体に与える影響は大きく、バランスが崩れるとアレルギーや炎症性腸疾患、下痢につながります。
腸内環境を整えるためには、腸内細菌「プロバイオティクス」や腸内細菌の増殖を促進する「プレバイオティクス」が重要です。食物繊維はプレバイオティクスとして、腸内環境の改善に役立ちます。
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・乳酸菌 ・ビフィズス菌 ・納豆菌など |
・食物繊維 ・オリゴ糖など |
犬の腸内環境を整える食事については、以下の関連記事もご覧ください。
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食物繊維が体に良い影響を与えてくれると言っても、摂りすぎれば逆効果になります。例えば食物繊維はタンパク質や脂質、糖質のエネルギー利用効率を低下させるため、ダイエットが必要ない子はエネルギー不足になってしまいます。
便秘の改善に効果的な不溶性食物繊維も、摂りすぎると便秘を悪化させる場合があります。特に腸の動きが強すぎることで起こる「けいれん性便秘」の場合、かさ増しによって余計に刺激を与えてしまいます。
水溶性の場合も摂りすぎると下痢を悪化させる可能性があります。ダイエットのために高繊維食を手作りしたり、サプリメントとして食物繊維をトッピングしたりする際は、与えすぎに注意しましょう。
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犬が摂るべき食物繊維の量
食物繊維は犬にとって大切な栄養素ですが、必須ではありません。そのため総合栄養食の栄養基準を策定しているAAFCO(米国飼料検査官協会)は、食物繊維について必要量の基準値を設けていません。
必須ではないものの、健康な体をつくるためには乾物中5%未満の繊維量が目安とされています。摂り過ぎは良くありませんので、減量用でも乾物中12〜25%、肥満再発予防でも10〜20%が推奨されています(※)。
例えばペトコトのオリジナルドッグフード「PETOKOTO FOODS」の場合、「ビーフ」と「ポーク」が3%、サツマイモが入った「チキン」と「フィッシュ」でそれぞれ5%、6%の繊維が含まれています。
ダイエットフードでは、ロイヤルカナンの「ミニ ライト ウェイト ケア」(小型犬用)で19%、ヒルズの「サイエンス・ダイエット 減量サポート」(小型犬用)で13%の繊維が含まれています。
※ドッグフードの成分表に表記されている「粗繊維」の「粗」は「大まか」という意味で、繊維を厳密に算出することが難しいため用いられる表現です。特に水溶性の繊維が除外され、実際の繊維量より少なく表示されている場合があります。
食物繊維を多く含む野菜や果物を毎日のごはんにトッピングしたり、おやつとして食べさせてあげたりしてはいかがでしょうか? 食べ過ぎれば肥満になってしまいますので、1日の最適カロリー量の10%を超えないように注意してください。
1日の最適カロリー量はペトことオリジナルのドッグフード「PETOKOTO FOODS」の「フード診断」(無料)で簡単に計算することができます。
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