ゴルゴサウルスの骨格標本。
Alexi Rosenfeld/Getty Images
- ティラノサウルス類の恐竜は、大型の草食動物を食べる最も恐ろしい捕食者だった。
- 研究者がティラノサウルス類であるゴルゴサウルスの幼体の化石を調査したところ、胃の中から鳥に似た恐竜の骨を発見した。
- このことは、ティラノサウルス類の食性が成長するにつれて変化したことを示しており、それが食物連鎖の頂点に立つに至った理由だと考えられている。
ティラノサウルス類が食物連鎖の頂点に立つ捕食者として君臨していた理由が、7500万年前の幼体の化石から分かるかもしれない。
カナダのアルバータ州で7500万年前に生息していたティラノサウルス類の恐竜、ゴルゴサウルス・リブラトゥスに関する研究論文が、査読を終えてScience Advancesに2023年12月8日付で掲載された。研究チームが分析したのは体長約4メートルの幼体の化石だった。
ゴルゴサウルスを含むティラノサウルス類の恐竜は、当時最も恐ろしい捕食者だった。ティラノサウルス類の成体は、一般的に大型の草食動物を食べていた痕跡が見つかっている。
この論文で分析された化石が他と違うのは、胃の中に2体の鳥のような恐竜の脚の骨が残っていたことだ。これによって、幼体の狩りの方法が成体とどう違うのか、洞察を得ることができた。
「これほど保存状態の良い胃の内容物が、ティラノサウルス類という大型恐竜の骨格化石の中から発見されたのは、今回が初めてだ」と論文の共著者であるダーラ・ゼレニツキー(Darla Zelenitsky)は述べている。
7500万年前のゴルゴサウルス幼体の骨格化石。赤い四角で示した部分が胃の内容物。
Royal Tyrrell Museum of Palaeontology via Reuters
ティラノサウルスはいかにして捕食者の頂点に立ったのか?
このゴルゴサウルスの幼体は体重約320キログラム(成体の10%程度)で、5歳から7歳の若さで死んだと考えられている。この化石は2009年にカナダ・アルバータ州のダイナソール州立公園で発見された。
論文によると、ティラノサウルス類の成体と幼体は獲物を奪い合うことはなかったようだ。幼体は「狭い頭蓋骨、刃物のような歯、細長い後肢」を持つため、小さな獲物を探していた。
一方、成体になると「巨大な頭蓋骨と大きく太い歯」を持ち、「骨を砕くような噛みつき」で、大きな獲物を捕らえることができたという。
獲物を獲る際に幼体は成体と競合しないため、「同じ生態系で衝突することなく共存」できた。このことが、ティラノサウルス類が食物連鎖の頂点に君臨した理由だろうと研究チームは報告している。
「ティラノサウルス類はその生涯において、中間捕食者と頂点捕食者の両方の役割を担っていた。それが進化に成功した鍵だったのかもしれない」
ティラノサウルス類の幼体は賢い偏食家
この幼体の胃から見つかったのは、獲物の後肢だけだったことから、ティラノサウルス類は獲物の肉付きの良い腿肉を選んで食べていたと研究チームは考えている。
「肋骨の内側の石を取り除き、中に隠れていたものを露出させると、驚いたことに生後1年未満の恐竜の赤ちゃん2体の後肢が、胃の中に完全な状態で残っていた」と論文の共著者であるフランソワ・テリアン(François Therrien)は述べている。
偏食は、知能の高さと関連していることがある。例えば、現在最も賢い海洋動物と考えられているシャチはかなりの偏食家で、サメの肝臓だけを食べることがあり、残った部分は岸に流れついて腐っていく。
ウィスコンシン州カーセージカレッジの生物学准教授であるトーマス・カー(Thomas Carr)(この研究には参加していない)は、ティラノサウルス類の幼体は「賢い偏食家」だったとウォール・ストリート・ジャーナルに語っている。
ティラノサウルス類は当時のシャチだったと言うのは拡大解釈かもしれないが、捕食者として冷酷だっただけでなく、知的だったと言えるだろう。
言い換えれば、現代の人類が共存したいと思える動物ではないということだ。
ティラノサウルス類が食物連鎖の頂点に立った理由 - Business Insider Japan
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