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Sunday, May 14, 2023

犬猫を飼っている家の子供は“食物アレルギー”になりにくい可能性 ... - FNNプライムオンライン

ペットと子供の食物アレルギーの関連性について興味深い研究結果が明らかになった。
室内で犬や猫を飼っている家の子供のほうが、飼っていない家の子供より、食物アレルギーの発症リスクが低下すると推定されることが判明した。

この調査は、福島県立医科大学医学部小児科学講座の岡部永生氏による研究チームが、環境省が実施した「子どもの健康と環境に関する全国調査」のデータを使って、胎児期および乳児期早期における様々な種類のペットへの曝露と食物アレルギーの発症との関連を調べたものだ。

日本全国の6万6215人の子供のうち、屋内で飼育された犬または猫にさらされている子供の内訳は、胎児期にさらされていたのが1072人。幼児期にさらされたのが3129人。胎児期・幼児期ともにさらされたのが1万156人。そして、胎児期・幼児期ともにさらされていなかったのが、5万1858人だった。

分析結果によると、胎児発育中または乳児早期に屋内で飼育された犬または猫にさらされると、3歳までに食物アレルギーの発症リスクが、他の子供に比べ、低下すると推定されることが分かった。

※イメージ
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ペット別にみると、犬にさらされた子供は、卵、牛乳、ナッツの食物アレルギーの発症リスクが低下すると推定された。猫にさらされた子供は、卵・小麦・大豆アレルギーの発症リスクが低下すると推定された。
また、他の動物については、亀や鳥の食物アレルギーの関連性は見られなかった。逆に、ハムスタ―にさらされた子供は、ナッツアレルギーの発症リスクが高くなると推定された。

研究チームの一人である福島県立医科大学医学部小児科学講座の岡部永生氏は、この研究について、「ペットの曝露と食物アレルギー発症リスクの低下の関連性が示唆(推定)されるにとどまり、そのメカニズムについてはまだ未解明であります。」と話している。

まだまだわかっていない部分も多いということだが、そもそもなぜ、このような研究を行ったのか?また、食物アレルギーになりにくい理由としてどういうことが考えられるのか?
研究チームの岡部永生氏に詳しく話を聞いてみた。

先進国で増える子供の食物アレルギー

――なぜこの研究をはじめた?

食物アレルギーは患児(病気やケガをしている子供)や家族の生活の質を低下させるだけでなく、時に致死的となるアナフィラキシーの主な原因です。そのため、食物アレルギーの予防は重要な課題であると考えています。ペットの飼育はアレルギー疾患の予防に効果的であるという説がありますが、日本ではアレルギーを心配する家庭でペットを避ける傾向がみられ、日常診療においても出産後のお母様からペットについての相談をうけることがあります。そこで、食物アレルギーという観点からペット飼育が小児にどのような影響を与えるのかを調べるために本研究を行いました。

※アナフィラキシー…アレルゲンなどの侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応

――食物アレルギーの子供は、増えている?

近年、日本を含む先進国では食物アレルギーと診断される子供が増えているという報告があります。2011年に日本の小児を対象に行われた調査では、18.4%がこれまでに食物摂取後に具合が悪くなったことがあり、12.4%が何らかの食物の除去を行っているという結果でした。

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皮膚のバリア機能などが関与している可能性も

――なぜ室内で犬や猫を飼っている家庭ほど食物アレルギーになりにくい?

本研究ではどのような理由で影響が出ているのかという検討は行っておりません。これまでの報告では、腸内フローラや空気中のエンドトキシン(細菌などの微生物が作る物質)、皮膚のバリア機能などが関与している可能性があるとされています。

――ハムスターを飼っている家庭で、子供のナッツアレルギーの発症率が高くなったのはなぜ?

ハムスターは餌としてナッツ類を食べることがあります。家族の手やハウスダストを介して、抗原となる餌に含まれるナッツ類に乳児が経皮感作(皮膚についたものが原因でアレルギーになってしまうこと)された可能性があるかもしれません。

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単に非衛生的な環境が良いという話ではない

――室内でペットと一緒に過ごすことでの、マイナス面はある?

猫とトキソプラズマ症や鳥類とオウム病など、動物に関連した疾患はございます。ペットを飼育する際にはどのようなリスクがあるのかも調べることが望ましいと思います。

――衛生意識の高まりは、子供の食物アレルギーの面では良くないということ?

衛生仮説は簡単にいうと「乳幼児期までの感染や非衛生的環境がその後のアレルギー疾患の発症を低下させる」という仮説ですが、近年は腸内細菌の関与なども明らかになりつつあり、単に非衛生的な環境が良いという話ではなくなってきています。また、衛生意識の高まりは経皮感作の予防につながる可能性もありますので、一概に衛生意識の高まりが子供の食物アレルギーに良くないとはいえないと思います。

犬・猫を飼うと、子供の食物アレルギー発症率が低くなると推定されるが、理由などについては、まだまだ解明されていない部分が多いようだ。食物アレルギーの子供が増えているという中で、今後の研究に注目したい。

プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。

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