壁一面に貼り出された、メモ用紙ほどのたくさんの紙。これは、2019年、キユーピー創業100周年を記念した展示会場で、キユーピーグループの従業員が「実現したい未来」を思い思いにしたためたものです。約1,700もの「実現したい未来」の中で、ひときわ多く描かれた“未来”がアレルギーに関わるものでした。
キユーピーグループは、マヨネーズをはじめ、卵を使った商品を数多く取り扱い、国内鶏卵生産量の約10%を使用しています。卵には人間に必要な栄養素がほぼ含まれており(ビタミンCと食物繊維以外のすべて)、健康的な食生活のためにも積極的に取り入れてほしい食材です。しかし、鶏卵は食物アレルギーの原因食物でもあるため、食べたくても食べられない人がたくさんいます。
日本で一番「卵」を扱うキユーピーだからこそ、「アレルギーによる不自由のない世界」は、絶対に実現したい未来でもあるのです。
まだまだ実現の“道半ば”ではありますが、アレルギーに関するキユーピーの取り組みをご紹介します。
- すべての方に卵のおいしさを届けたい!未来につながる卵アレルギー研究
日本において、0歳児に最も多い食物アレルギーは「鶏卵」で、「牛乳」「小麦」が続きます。ただこれらは、年齢によって変化が大きく、成人では「魚類」「甲殻類」「果物」などが目立ちます。
食物アレルギーに対する診断、治療、予防の考え方について、過去に3つのターニングポイントがありました。一つ目は、2006年に実際に食べさせて判断する「食物経口負荷試験」が新たな診断方法として確立(保険適応)したことです。それまでの方法では、実際は食べられるものまで除去してしまい、子どもの成長を妨げることが懸念されていました。二つ目は、2009年頃から広がった、食べて治すという「経口免疫療法」で、“除去すること”が当たり前の考え方から180度の転換です。三つ目は、2016年頃から報告されるようになった離乳初期から少量ずつ食べさせ「予防」するというものです。キユーピーは、「食物経口負荷試験」「経口免疫療法」では、独立行政法人国立病院機構 相模原病院と、「予防」については国立成育医療研究センターと連動して、それぞれの試験に適した卵加工品を試作・提供することにより研究を支援しています。
また、食物アレルギーは、ある食べ物を摂取したときに免疫が過剰に働いてしまうことで引き起こされます。卵の中には数種類のタンパク質があり、それらがアレルギー症状の原因となります。一方、加熱調理により卵の中のタンパク質が変性し、アレルギー症状を起こしにくくなることも分かっています。しかし、一部には加熱調理をしても変性しない、熱に強いタンパク質もあります。キユーピーは、鶏卵中に含まれる熱に強いタンパク質を除去することで、アレルギーを低減できる鶏卵の共同研究にも挑戦しています。
卵のタンパク質は、アミノ酸の含有バランス(アミノ酸スコア)が良く、生体内での利用効率が良い「良質なタンパク質」です。キユーピーはこれらの研究を通じて、一人でも多くの方々に、卵の栄養価はもちろん、何よりその「おいしさ」を実感してもらえるよう、日々努力を続けています。
- 衛生意識が高まった今、衛生的な生活で増えるアレルギーを酢酸菌が救う?
「衛生的すぎるとアレルギーになりやすく、逆に少し不衛生な方がアレルギーになりにくい」という話(衛生仮説)を聞いたことはありますか。不衛生な環境下では自然と菌が体に取り込まれ、免疫細胞に備わる免疫を活性化させるスイッチ「TLR4」が刺激されることで、アレルギー予防になっていると考えられています。しかし、衛生意識が高まり、手洗い・うがいの徹底などこれまで以上に衛生的な生活習慣が求められる今、アレルギー予防のために不衛生な生活に戻ることは現実的ではありません。そこでキユーピーは、マヨネーズの原料である「お酢」を作る時に欠かせない「酢酸菌」に着目し、酢酸菌がTLR4を刺激することを見出しました。通常、TLR4を刺激するのは赤痢菌などの病原菌で、一般的な乳酸菌等では刺激できません。つまり酢酸菌は、「食べられる菌でありながら、TLR4を刺激することができる」稀少な存在なのです。
酢酸菌ライフHPより引用
https://sakusankin-life.jp/allergycare03.html
さらにキユーピーグループでは、技術革新により世界で初めて酢酸菌の大量生産に成功し、世の中に広く提供できるようになりました。また、この季節、アレルギーと言って思い出されるのが「花粉症」。臨床試験でも、酢酸菌を毎日摂取した結果、4週間後には花粉症による鼻づまり症状の改善が確認されており、酢酸菌を取り入れることでアレルギーに強い体質作りが期待されます。
出典:上條ら, 酢酸菌 (Gluconacetobacter hansenii GK-1) はスギ花粉による鼻の不快感を軽減する-無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験-, 2019を一部改編
酢酸菌ライフHPより引用
https://sakusankin-life.jp/allergycare03.html
不衛生な生活に戻らずとも免疫活性化スイッチTLR4を刺激できる・・・酢酸菌は今の時代にこそ求められる菌であり、今後ますますの活用が期待されます。
- 試してほしい、アレルギーに配慮した商品の数々
キユーピーは1960年にベビーフード・幼児食の販売を開始しました。発売以来、キユーピー独自の規格を設け、原材料管理や衛生管理を徹底し、“安全・安心のものづくり”に努めています。1991年には、日本初となるアレルギーに配慮したベビー用おやつ「よいこになあれ」を発売しました。この開発や製造で培ったノウハウは、現在の食物アレルギーに配慮したベビーフードにも生かされています。
2014年には、業務用で学校給食向けに卵を使わないマヨネーズタイプ調味料を発売し、翌2015年には、家庭用に「キユーピー エッグケア(卵不使用)」を発売しました。お客さまからは「家族みんな同じポテトサラダを楽しめるようになった!」「食卓でマヨを使うのを我慢しなくてよくなった」など、喜びの声も届いています。
アレルギー配慮食品は、日常使いはもちろん、非常食としても便利です。災害時には、アレルギーなど“配慮が必要な食事”は、とりわけ確保が難しく、事前の備えが重要です。ベビーフードやキユーピー エッグケア(卵不使用)は、賞味期間も長く、備蓄にも適しています。
- 私たちがめざす未来を実現するために
今回紹介したものを含め、アレルギーに関する研究やその実用化には課題も多く、時間もかかります。
近年「食物アレルギー」や「花粉症」などのアレルギーは増加の一途をたどっていますが、これは日本に限ったことではなく、先進国を中心とした社会問題にも発展しつつあります。アレルギーは、食品メーカーとして対応すべき重要な課題であり、今後も「アレルギーによる不自由のない世界」の実現に向け、課題解決に取り組んでいきます。
キユーピーはこれからも、理念に掲げる「世界の食と健康に貢献するグループ」をめざして、おいしさの提供はもちろん、健康に寄与する食品や素材の研究を進めていきます。
「April Dream」は、4月1日に単に笑えるネタではなく実際に企業が叶えたい夢を発信する、PR TIMESによるプロジェクトです。
「食物アレルギー」も「花粉症」も。アレルギーによる不自由のない世界を実現します。 - PR TIMES
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